たろちゃんの痙攣重積型急性脳症_経過日記

痙攣重積型(二相性)急性脳症を罹患した娘の経過記録

現在のたろちゃん(1年4ヶ月)

ご無沙汰しています。たろちゃんパパです。

 

前回から4ヶ月弱経過しました。
たろちゃんは相変わらず元気いっぱいの毎日を過ごしています。

 

前回と比べてどうか?ですが、認知面は明らかに良くなったと感じています。
ずっと懸念だった、「手をパチパチ叩かない」も改善しました。
病前にしていた、わっるい顔も見えるようになり、「可愛いなあもうw」と思いながら過ごしています(笑)

 

一方で、言葉は依然として喃語です。意味のある言葉は出てきていません。
「まんま」も一時期言ってたんですが、言わなくなってしまいました。
一言でも何か言い始めてくれれば、すごく安心するのですけど…。

言われた言葉は理解出来てるようなんですけどねえ。


また、やはり身体的な成長と精神的なそれにギャップがあり、その辺で我々夫婦(といっても主に私ですが(笑))が「うーん」となる事が結構あります。
具体的には、たろちゃんは本当に発育が良く、3~4歳時に間違われるほど大きいです。
それも相まって、話しかけてくれた方が、見た目と中身のギャップで困惑する様を見て、何とも言われぬ気持ちになります。
わざわざ説明する気には当然なれないですし…難しいですね。

 

ちなみにですが、姉妹の掛け合いがものすごく可愛くなってきました。
果たしてどっちが先に話し始めるのやら…。

 


では以下、いつも通り、列挙していきます。(思い出したら随時追記します)

 

【出来事】


・風邪らしい風邪を生まれて初めて引きました。
38.5℃の熱で、ダイアップ等を服用し、特に問題なく治りました。
初めての風邪だったのでドキドキしながらでしたが、無事通り過ぎて良かったです。

 

・脳波検査がありました。
結果は、「前回より入眠時の波形の乱れが少なくなっている」との診断でした。
ひとまずホッとしましたが、なかなか正常に戻るケースは少ないのでしょうね。
病後10年以上が経過したお子様がいらっしゃる方と話をさせて頂く機会がありましたが、いまだに脳波は乱れてるとの事でした。後遺症の程度としては軽症の分類に含まれる症例だとは思うのですが…。

 


【運動】


・自分の腰の位置ぐらいの高さの段差ならよじ登れる


・でんぐり返しをキレイにできる(これ、すごくないですか?)


・車輪を回す等の動作をスムーズに行うことができる


・2リットルのペットボトルを持ち上げて運べる


・(前回の書き忘れ)片手で何かしながらもう片方で違う動作を行うことが出来る


・手を叩く事が出来る(「いただきます」が出来る)
→大きな進歩です。ただ、左手は固定で、右手が迎えに行ってるような不格好なパチパチです。
どうもやはり左手に何らかの麻痺が残ってるようなんですが、かと思うと甘納豆などは器用に摘んで食べているので、正直一体何が起こってるのか良く分かりません…。OTさん曰く、片方の手で出来ることはもう片方でも出来るとの事なんですけど、そういうものなんですかねえ…


・拙いながらも積み木を積むことが出来るようになりました。まだ2段目までですが…。


・輪投げに縄を通せるようになりました(これまでは出すだけだった)

 

【食事】


・哺乳瓶を自分で持って飲むことが出来る


・手づかみで食事をすることが出来る(小さいおにぎりも力加減を考えながら掴める)

 

【排泄】


・トイレにおまるをつけて、うんちとおしっこが出来るようになった

 

【認知】


・「ごほんは?」というと、好きな本を取ってくる(簡単な言葉であれば、かなりの程度、理解しているようです)


・「○○(本の名前)とってきて」と言えば探し回って取ってきたり、アンパンマンのマーチを歌うと、アンパンマン号についているボタン(メロディーが鳴る)を押したり出来る


・構って欲しいのにスマホ等を見て親が構ってくれない時に、スマホを奪い取って、悪い顔をしながら逃走する(可愛い)


・しっかり人見知りをする


・「ないないして」というと箱にものをしまうことが出来る


・妹にやきもちを妬いた行動がよくある


・「あげて」というと、持っているものを渡してくれる

 

【積極的に行っている事】


・毎日何かしら、いつもと違う刺激を与える


・積極的に声掛けを行う


・OTに定期的に通う


子育て支援センターをフル活用する


・砂浜を裸足で走らせる


・夜寝る時に誰かが寝室に来ていなかったりすると迎えにくる(可愛い)

 

 


◆できない事
 
【運動】
・目の動きが若干おかしい(振り向いたりする時に視線が振り向く前の位置に一瞬留まっている時がある)
・こちらの動きを真似する動作をしない
 
【食事】
・スプーンやフォークなどを使って食べることができない
 
【言語】
・1語文が出てこない
・音のミラーリングが見られない(例えば、「まんま」こちらと言っても、それらしい音を返したりしない)

 

現在のたろちゃん(1年後)

 
こんにちは。たろちゃんパパです。
 
たろちゃんは先月2歳の誕生日を迎えました。
また、一度目の痙攣発作を発症してから1年が経過しました。
今日はこの1年を振り返って、病状を書いて行きたいと思います。
 
現在の率直な心境としては、まだまだ出来ない事が多く、「これから良い方に向かってくれるのだろうか?」という気持ちです。
が、よく考えてみれば、病気直後に全く動けなかったたろちゃんが、現在はニコニコと笑って走り回っているわけですから、今現在の状況でも「良い方向」なのかもしれません。
ただ、親である以上、身体能力の回復に伴って、「認知も病前の状態に戻ってくれるのではないか?」という気持ちが芽生えるのは当然だと思います。
 
「身体だけでなく知的な部分も同じように戻ってくるのではないか?」
「2歳を迎える頃には少しずつでも言葉が出るようになっているかもしれない」
「病気をする前の機転の良さが戻ってくるかもしれない」
 
こんな期待をしていたわけですが、なかなかそのようにはなっていません。
現在行っている事としては、無理のない範囲で刺激を与えるようにしています。
積極的に話しかける、新しい事に触れさせる、本の読み聞かせをする、おもちゃで一緒に遊ぶ、等々。
 
実は8月に次女が誕生しました。大きな刺激になっていると思います。
ただ、精神年齢がおそらく1歳くらいのたろちゃんにとって、母を奪われることは過酷な事でしょう。
意識的に、次女よりもたろちゃんを優先して構ってあげることにしています。(妻はどうしたって次女に付きっきりになってしまいますので)
 
 
さて、現在できる事とできない事について書いてみます。
 
◆できる事
 
【運動】
・元気に走り回れる(最近では、ほぼコケなくなりました。おそらく1km程度なら自力で移動できます。)
・足元の障害物(段差や散らかってるオモチャ)などにも配慮しつつ行動できる
・自力で階段や段差を登れる(滑り台すら自力で登る)
・ボタンやスイッチを押すことができる
・扉を開いたり閉じたりできる
・本をめくることができる
・キャップの開け閉めができる
・500gくらいのものなら片手で持つことができる
・あまり何でもかんでも口に入れなくなった(口唇傾向を否定できると判断しています)
 
【食事】
・エンドウ豆ぐらいの小さいものを、ぎこちないながらも摘まんだり握ったりして食べることができる
・ストローを使って上手に液体を飲むことができる
・ご飯をきちんと噛んで飲み込むことができる(嚥下力は普通の子と遜色なし)
・ストローマグを自分で持って飲むことができる
・哺乳瓶を(補助を受けながら)自分で持って飲むことができる
 
【言語】
・こちらのいう単語が何を意味しているかある程度分かり、それに即した反応を示すことができる
(かっか、とっと、じいじ、まんま、ちっち、おっぱい、おやつ、ちょっとまって、めっ、すごい、上手、ごほん、さんぽ、ばいばい)
・適切なタイミングで発音できる単語がある(現状、「うまい」のみ)
・音のバリエーションのある喃語を話す
 
【認知】
・顔色を伺うなどの状況判断ができる
・こちらが「ばいばい」というと手を振ることができる
・「どこに何がある・入っている」などの情報はきちんと記憶できている
・着替えの時に「ばんざい」というと手をあげることができる
・学習能力がある(人がやっている事を見て学習し、ある日突然出来るようになる)
・「だっこして」「連れて行って」「かまって」などの要求を非言語的ではあるが伝える事ができる
・嫌いな事(歯磨き等)のトリガー(歯ブラシ)に適切に反応できる(歯ブラシを見て逃げる)
 
 
 
◆できない事
 
【運動】
・手をパチパチと叩かない(手はおそらく麻痺が残っています。その影響でしょうか。)
・目の動きが若干おかしい(振り向いたりする時に視線が振り向く前の位置に一瞬留まっている時がある)
・こちらの動きを真似する動作をしない
 
【食事】
・スプーンやフォークなどを使って食べることができない
 
【言語】
・1語文にバリエーションがない(言えるのは「うまい」のみ)
・音のミラーリングが見られない(例えば、「まんま」こちらと言っても、それらしい音を返したりしない)
 
【認知】
・こちらが話しかけても、頭にハテナを浮かべたような顔をする事が多い
・次女を容赦なく攻撃しようとする。(これは病気のせいではないかもしれませんが。)
 
 
 
運動能力はものによっては普通の2歳児に負けてないと思っていますが、認知能力は普通の子どもの1歳程度のものだろうと思っています。
たろちゃんが1歳になった時は、既に歩き回っており、言葉もポンポン出ている状態でしたので、私としては病前の10ヶ月目くらいの認知かなあという印象です。
ただ、こうして書き起こしてみると、着実に成長している事を実感します。
 
さて今後どうなるか。
少しずつでも良いから、回復してほしいと切に願っています。
引き続き、たろちゃんの回復を祈り・信じ、出来る事をやっていきます。
更新は今後も無理のない範囲でのんびりと続けていきます。

現在のたろちゃん(300病日)

ご無沙汰しております。たろちゃんパパです。

現在の経過報告です。

 

100日経過しましたが、依然として以下の課題は残ったままです。

・言葉が出てこない
・手を使った動作が一部出来ない(手を叩く、頂きます、バイバイする…等)
 
言葉については、喃語はよく話しており、一度言葉が出てくるようになれば湯水の如く溢れてくるのではないかと期待しているのですが、なかなか…。
 
 
一方で、身体能力・頭の回転は間違いなく良くなってきており、具体的には、以下の進展がありました。
 
・ベビーフェンスを乗り越えそう(!?)。すごい身体能力です。
・外をほぼこけずに100m程度走れるようになりました。おそらく普通の子と遜色ないです
・ボタンを押すことが楽しいようで、おもちゃや家電のボタンをひたすらポチポチと押す
・音の出るものが好きでボタンをポチポチ押して音楽を楽しむ。ピアノの鍵盤も楽しそうに押す
・動画をニコニコ観る。催促する
・いたずらがヒートアップ(物を手当り次第に取る、出す、色んな所によじ登る)
・こちらの発する言葉は大体理解している(まんま、おやつ、やめて、おもちゃの名前、ばいばい、いくよ、ちょっとまって等)
・認知の幅が拡がり、状況判断して行動している
・手を使った動作にレパートリーが出てきた(美味しいものを食べていると手をブンブンと振ります。可愛い(笑))
・発する音にもレパートリーが出てきた
・こちらの行動を見て真似る動作が少しずつ現れてきた
 
リハビリに行った前後に明らかに進展があります。
色々と大変ではありますが、絶対にリハビリは行ったほうが良いです。(もちろん、携わる方の腕に左右される部分はありますが。)
 
一方で、いくら「ばいばい」「いただきます」を毎日やってみせても、全くやろうとしなかったり、ちょっと思い出せませんが、違和感のある行動はいくつかある状態です。
病気当初のことを考えれば、本当に奇跡的な回復してくれて嬉しいのですが、親である以上どうしても、「もっともっと回復してほしい!」というのが率直な思いです。
 
ちなみに、これは私の実感ですが、おそらくたろちゃんは病気をする前の記憶をほぼ全て無くしています。
にも関わらず、病前の成長過程を忠実に辿っていきます。
何とも興味深いというか、怖いというか、何とも言えない気持ちになります。
病気をする前でも後でも、気性や行動は殆どたろちゃんそのままですが、病気をする前のたろちゃんはどこに行ってしまったのだろう…などと感傷に浸ってしまうことがあります。

現在のたろちゃん(200病日)

こんにちは。たろちゃんパパです。

最近のたろちゃんの変化について書いていきます。

 

【運動】

・テーブルから降りる時に後ろ向きから足をついて降りるようになってきました。

(以前は頭を乗り出しながら両手を地面につけて降りていた)

・少し空いた襖の間に身体を入れ込んでこじ開けて出ていくようになりました。

・力がより強くなってきて、親の手に負えないくらいになってきました…(笑)

 

【食事】

・食べ物の好き嫌いが出てきました。好きなものは大きな口を開け、嫌いなものは口を閉ざす、好きな食べ物が遠くにあるとそれを取ろうと身を乗り出す

・これは書き忘れていた事ですが、その食事の中で初めて食べるものは、はじめの一口を小さなお口で食べます。おそらく味見をしているものと思われます。美味しかったら二口目から大きなお口で食べるようになります。

・ものすごく良く食べます。運動量が減ってきて太ってきました…(笑)

・ミルクも母乳もものすごく良く飲みます。ざっくりですが、(ミルク160ml+母乳)×朝昼晩、という感じです。

 

【遊び】

・ものを口に運ぶ動作が減り、手でものをペタペタと触る仕草が増えました。

・本に対してより興味が出てきて、一人でページをペラペラめくって遊んでいます。

・親が積み木を積むと、走って崩しにきます。

・まだ1つだけですが、おもちゃのボタンをポチポチと押すようになりました。

 

【言葉】

・病前の6~7ヶ月頃の喃語のようなものを発声するようになりました。

喃語で文句を言うようになりました。

 

【その他】

・親が何か作業をしていると、「かまえ~!」とダッシュして飛び込んできて抱っこを要求します。

・最近はひたすら抱っこを要求してきます。かわいい。

 

 

 

今の懸念は、

・手を叩くなどの動作が見られない

・親の動作を真似る仕草がない

・言葉がなかなか出てこない

 

といった所でしょうか。

 

ちなみに、夜の睡眠に苦労しているのも悩みです。

本当に頻繁に起きます。睡眠障害なのかなあ。

 

経過を見ていて思うのですが、病前の成長をほぼ忠実に辿っていっています。

これはどういう事なのでしょう。

私の印象としては、「炎症によって失われた学習内容をもう一度繰り返している」という感じがしています…。

 

退院後から、「刺激をたくさん与える」事を強く心がけています。

顔を見て話す時間、(コロナ渦で大変ではありますが)お友達と触れ合う時間、外に散歩に行く時間、一緒におもちゃで遊ぶ時間。

この中でも、お友達と触れ合う時間というのは非常に大事に感じました。

近くの子育て支援センターにつれていくようになってから、何かと遊びの幅が広がり、表情も豊かになったと感じています。

新型コロナウイルスを始めとした病気のリスクを考えるとあまり色んな所に連れ回すのは良くないようにも思えますが、うちの周りはかなり感染者も落ち着いているので、こうした事ができています。

【~12病日目】診断

病前の姿を見るのは辛い気持ちになる人の方が多いと思います。

しかし、私の場合は現実逃避に入っており、毎日のように撮り溜めたたろちゃんの写真や動画を見ていました。

「もうこの頃には戻れないんだろうか」

「何か防ぐ手立てはなかったのだろうか」

絶望感がありすぎて、現実感もなく、ずっとぼんやりとこのような事を考えていた気がします。

 

 

◆11~12病日目(11病日目で書き漏らした事も併せてあります)

新型コロナの中、病院としては面会謝絶となっていましたが、

看護師さんのご好意で、20~30分ほどだけ(妻のシャワータイムという名目で)交代する事ができました。

本来は良くないですが、感染者の少ない田舎だからこそ許された事でしょう。

 

前日に比べると、ほんの少しだけ首や手足が動くようになっていました。

手のひらに指を置くと握ってくれますが、おそらく条件反射的なものでした。

好きなぬいぐるみを動かしてあやしたりしますが、たまに真顔でちらっと見る程度。私や妻を認識しているのかも曖昧です。

加えて、視野が凄く狭いらしく、物凄く近くまで近づかないと反応しませんでした。

排泄については、少量ではありますが尿も便もありました。

 

熱も上がってきており、妻によると、排尿のタイミングで激しく泣くことから、尿路感染ではないかとの事でした。免疫が弱っているので仕方ない部分があるようです。

昨日までは眠くても目が閉じられなかったのですが、この日からは閉じられるようになりました。

 

先日行ったMRIの説明を主治医から受けました。

内容としては、

MRIの画像所見から急性脳症の可能性が非常に高い事

②典型例とは少し異なり、(前頭葉の)運動を司る場所で広範囲に高信号が出ている事

③典型例よりは高信号の範囲が狭そうであるという事

④脳の血流は前回からかなり改善している事

⑤ここから症状が悪化するのか、ここがピークなのかは不明であるため、1週間後の再評価としたいという事

⑥免疫力が弱っており菌をもらいやすいため、抗生剤を投与する事

 

たろちゃんは完母でおっぱいが大好きだったため、この時期から妻の意向で乳を加えさせることになりましたが、自力で加える力はありませんでした。

定期的に顔を真赤にして歯を全力で食いしばり、爆発したように、頭がはちきれんばかりに泣きました。

これは本当に辛くて、「これからどうなってしまうんだろう」と凄く不安になったのを今でも鮮明に覚えています。

ひょっとしたら尿路感染による痛みが強かったのかもしれません。

舌のなめずり運動も出てきました。

【~11病日目】再会

◆7~8病日目

たろちゃんの入院中、二相性急性脳症についてひたすら調べる毎日でした。

専門機関のレポートや症例、個人で書かれたブログ、ありとあらゆるものを読みましたが、希望を持てるような記述は全体の数%という感じでした。

そうやって調べる中で、亡くなった子もいました。

心のなかに黒い何かが拡がっていくのを感じました。

 

痙攣については、ぶり返しなく安定しており、徐々に鎮静剤の強さを弱める旨の連絡が病院から有りました。

まずは一安心というところですが、発症後のたろちゃんを一度も見れていない私としては、不安だけが募ります。

 

◆10病日目

病院から、

①無事鎮静剤の投与を終了した

MRIを実施したい、という旨の連絡を受けました。

ステロイドにより免疫力が下がっているため、抗生剤も合わせて投与するとの事。

明日、一般病棟に転移する事になりました。やっと会う事が出来ます。

嬉しい反面、どんな姿になっているのか、不安で一睡も出来なかったのを覚えています。

 

◆11病日目

再会の日です。

ICUから出てくる姿をお迎えしました。

か細く悲しそうな声をあげながら、管だらけのたろちゃんが出てきました。

病前の声とは全く異なっており、それだけで悲しい気持ちになりました。

 

転移が完了し、コロナ渦ではありますが、1時間程度家族で過ごす事ができました。

状態としては、

・全く動けないし、動こうという様子もない

・目が合うような気はするが、認識しているか分からない

・虚ろな目をしている

・目の動きもおかしく、あらぬ方向に行く頻度が多い

・好きなぬいぐるみや絵本にも全く反応しない

・微熱あり

 

といった感じでした。

 

急性脳症について調べていたときに、病気の直後からピンピンしている子も何例かいて、その場合、当然の事ながら予後良好でした。

そうならないかと強く期待していましたが、そうはなりませんでした。

たろちゃんの前では努めて明るく振る舞っていましたが、心の中は

 

「これからどうしたらいいのだろうか」

「どの程度、元に戻ってくれるのだろうか」

 

という気持ちでいっぱいになりました。

 

元気に歩き回って、ニコニコしていたたろちゃんを思い出し、

「もうあの姿には戻れないのだろうか」

 

そんなふうに思いました。

【~6病日目】その日

 ◆3病日目~4病日目
妻が入院の付き添いに行きました。
私は普段通り仕事です。


この後、あんな事になるとは全く考えていなく、「退院までに家の掃除や模様替えをガッツリやってお迎えしよう」
そんな風に考えて、会社から帰ったらひたすら掃除する毎日でした。
新型コロナウイルスの影響で面会は出来ませんでした)

 

1日1回ビデオ通話をするのですが、どうもたろちゃんの反応が悪かったのを覚えています。
読んでもこっちを向いてくれなかったり、いつもは笑いかけてくれるのに真顔だったり。
搬送時に打った強い鎮静剤のせいだろうと考えてはいたものの、どこか少し違和感がありました。
しかし、ご飯もしっかり食べますし、画面越しに妻にはニッコリ笑っていましたし、ベッドの中を歩き回っていて元気そうでした。
元に戻ってくれて深く安堵したのを覚えています。

 

◆5病日目
突発性発疹らしき発疹が全身に出ましたが、本人は元気そうでした。

 

◆6病日目(Late Seizure当日)

この日、私は仕事に行っていました。
午前10時頃、付き添い中の妻から連絡がありました。

 

「また痙攣を起こした」

 

聞いた瞬間は、「え?どういうこと?」という感じで、何が起こったのか分かりませんでした。
救急車で運ばれた時に二度目の痙攣についての説明を受けていたけど、それが発症した結果どうなるのかは全く知らない状態でした。

 

以下は後に妻から聞いた話になります。

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たろちゃんはこの日も朝から元気で、起きてからすぐに、「まんまー!(ご飯)」と声を上げ、もくもくと朝食を完食したようです。
その後少し経ってから、おっぱいを要求し、ちゅっちゅしてそのまま眠りに落ちそうになりました。
妻も慢性的な寝不足でしたので、二人でウトウトしていたそうです。
その最中、妻に違和感が走り、その数秒後に痙攣を起こしたとの事でした。

 

たろちゃんの痙攣を見て、すぐにナースコールしましたが、ナースは状況を何も理解しておらず、「あーそうなんですか、痙攣ですか」というのんびりとした反応。
妻は医療関係者という事もあり、この痙攣が何を意味するかある程度把握していました。

 

「いいから早く先生を呼んでください」

 

しばらくしてから先生達が集まりだし、その場でMTGが始まったそうです。
この日を振り返って、運が良かったと思うのは、①痙攣直後に病院にいた事、②たまたま先生が沢山勤務している日で、早急な処置をしてくださったことです。
(ただいかんせん、うちはド田舎なので、最善の処置だったかは何とも言えませんが…)
振り返ると、妻の医療知識と咄嗟の判断に、ただただ感謝するしかありません。


痙攣の後、すぐに鎮静剤が投与され、MRIを実施(MRIの結果は別の記事であげていますので、ご興味のある方はそちらを御覧ください)。
結果、運動に関する部位に炎症反応有。血流低下箇所複数有との事で、痙攣重積型の急性脳症の疑いが強い旨、主治医より説明を受けました。
処置としては、3日間相当強い鎮静剤を投与、ステロイドパルス療法の実施、ビタミン剤の投与を行うとの事でした。
また、鎮静剤の副作用により舌根沈下を起こすため、呼吸管理をICUで行うとの事でした。
コロナの影響もあり、ICUに入ることは出来ません。
妻は一時帰宅し、ICUから転移するタイミングで再付き添いという形になりました。
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私はと言えば、どのみち病院に入る事が出来ない事を早期に妻に知らされていたため、仕事場で悶々としながら過ごす事となりました。
もう仕事どころではなく、急性脳症に関する文献を読み漁っていましたが、調べれば調べるほど現実感はなくなっていき、思考力も低下していくのを感じていました。

 

ちょうど私の仕事の定時に合わせて、妻が先生の説明を終えて病院から出てくるところだったので、迎えに行きました。
妻はものすごく動揺していましたが、自分のなすべきことをしっかりしてくれました。
私が妻の立場だったら、咄嗟の判断は絶対に出来なかったと思います。感謝しかありません。
私は現実感を無くしており涙は出てきませんでしたが、妻はある程度理解しているため、「辛そうなのを何とか堪えている」、そんな状態でした。
妻のその状態を見て、「ああやっぱりヤバいんだな」という事がよく分かりました。
たろちゃんの様子を見られないまま、家路につきました。

 

家に帰り、久しぶりに二人きりで寝る事となりました。
たろちゃんの明るさにどれだけ救われていたのか痛感し、初めて悲しい気持ちがこみ上げてきました。

 

夜布団に入った後、頭の中がぐちゃぐちゃとしていたのだけははっきりと覚えていますが、結果として寝れたのか寝れなかったのか、全く覚えていません。